プロ野球雑感

中学の頃からパ・リーグ党で、果てしなく弱かったが死ぬほど好きだった南海ホークスの身売りの辛さを味わった過去がある。だからオリックス近鉄の合併話はやはり残念でならない。そして、一気に加速するであろう一リーグ制への流れを、「これも定めか」と冷めた眼で見ている自分が寂しくもある。
やや長い引用になるが、戦後のプロ野球草創期に活躍した大打者で、その野球人生をプロ野球の発展に捧げた故大下弘氏(セネターズ〜東急〜西鉄)の言葉を取り上げてみたい。「古き者に対する世人の盲敬と盲愛を目醒めさせなばならぬ 伝統の上にアグラをかく者への激しい挑戦が吾等なのだ」(『大下弘日記〜球道徒然草』より)
西鉄時代の昭和三十二年、巨人との日本シリーズを前にした日記の一節なんだけど(当然、“古き者”“伝統の上にアグラをかく者”とは巨人を指す)、要するに何を言いたいのかと言うと、“国技”つー伝統の上に胡座をかいて改革を怠り、ドラフト制度を骨抜きにした結果、人気の面で巨人ばかりが一人勝ちする状態にしてしまったのがまずかった、と言いたい訳なのよ(巨人人気だって永遠不滅のものでないだろうし)。大下氏もきっと、草葉の陰で嘆いているだろう。